VTR250のフロントフォークをオーバーホールしました。
具体的にはフォークオイル・部品の交換、洗浄、そしてサビ落とし。
・・・サビ落とし?
うんまぁそんな感じの奮闘記。
作業の前に
作業環境は恐らく人によってバラバラで、絶対的にこうすればうまくいくよ!てな話ではないことにご留意ください。
あくまでも素人による作業であり、参考になる部分があれば参考にしてしていただく程度の内容です。
また、写真がほとんどありません。
作業中に油だらけの手でカメラを触りたくなくなったことと、錆を落とすのにそれどころではなかったため。
でも一応備忘録として記事化しておきます。後から読み返して「あぁそうしたんだっけ」ってできるので。
なお、失敗談も挟むので読んでいて少し冗長な印象を受けることがあるかもしれません。
あらかじめ準備したもの
ダンボール、廃油ボックス、かませ板(ジャッキ・スタンド支え用)、ラップ、ビニール紐
ジャッキ、シリコンスプレー、グリス、ねじロック剤、六角棒(6mm)、ゴムハンマー、塩ビパイプ(VU40)50cm、ソケットレンチ等工具類
交換が必要な部品
最低限交換が必要なものを揃えました。
- オイルシール・ダストシールセットx2 (51490-MN8-305)
- ストッパリングx2 (51447-KA4-711)
- シーリングワッシャx2 (90544283000)
- フォークキャップのOリングx2 (91356-KF0-003)
- スズキ フロントフォークオイル G-10 1Lx1
サービスマニュアルに書いてある要交換パーツはOリング、オイルシール、ダストシール、シーリングワッシャの4つです。
その他フォークチューブブッシュ、ガイドブッシュは摺動面を目視し、下地の銅部分が全体の3/4以上現れているか、著しいかき傷がある場合は交換する。
フォークスプリングも使用限度(324mm)に足りなければ交換。
その辺は開けてみて必要なら買い足そうと思っていましたが大丈夫そうだったのでそのまま使いました。
あと持っていなかったネジロック剤と六角レンチ。
安かったのでセットで買いましたが使うのは6mmの1本です。
フロントフォークの取り外し手順
では早速作業開始。
まずは車体をジャッキアップ・・・の準備
- 前後に動かないよう固定
- 左右に倒れないよう固定
- 車体を垂直に立てる
フロントフォークですからね、フロントを浮かさねば話になりません。
大事なことは安定して持ち上げること。
基本的には後輪をバイクスタンドで持ち上げるなりして固定。(前後の動きを抑制)
横方向へは倒れないよう何か固定物にロープ&サイドスタンドでいいかなと。
あとはエンジン下のオイルパンに板をかましてジャッキで持ち上げればOK!
参考にしたyoutubeや色んな方のブログでもそんな感じでした。
でもうちではちょっと違ったみたい。
実際やってみたらリアの荷重が抜けてふらついたので慌てて下ろしました。
ガレージなんてないので家の前の道路だし、微妙に水平が取れなかったせいかもしれません。
結局後輪は下ろしたままギアを1速に入れ(ちょっと動いちゃうけど)、エンジン下から板をかましたジャッキで持ち上げる形にしました。
車体左側のフレームと電信柱をロープで固定。(右側への転倒防止)
ジャッキアップしつつサイドスタンドの下へ板を差し入れて左側への転倒防止としました。
ロープはもやい結び、スタンドの高さを合わせつつジャッキアップしたら思った以上に安定してくれました。
写真ではすでにフロントフォークを外していますが、安全にジャッキアップできる形が取れたら
一旦下ろして前輪を地につけます。
ブレーキキャリパーとスピードメーターケーブルを外す
ブレーキキャリパはボルト2本で留まっているので外し、ビニール紐等でフレームに釣っておきます。
ブレーキレバーは触らないように。握ってしまうとパッドが押され、ピストンを引っ込めないとはまらなくなります。
スピードメーターケーブルはねじ一本で留まっているのでこちらも外す。
- ブレーキキャリパ
- スピードメーターケーブル
フロントフォーク周りのボルトをあらかじめ緩めておく
あらかじめ各固定ボルトを軽く緩めておきます。
ジャッキアップしてからだと力をかけづらいので、前輪が設置した状態で行うが吉。
あくまでも軽く緩め、抜けるほどには緩めない。
- 左右のトップブリッジ割締めボルト、ボトムブリッジ割締めボルト
- 右側下のアクスルナット、左下前面のアクスルホルダボルト
いざジャッキアップ
各所のボルトを緩めたら、
スタンドの台座板を適宜積み重ねながらジャッキアップ。
上がったら安定性を確認。
ホイール、フェンダーを外す
アクスルナットを外し、アクスルホルダボルトを緩め、
タイヤを少し持ち上げながらアクスルシャフトを引き抜いてホイールを外す。
4本のボルトで留まっているフロントフェンダーも外します。
フロントフォークを外す
トップブリッジ割締めボルトを緩め、
フォークを持ちながらボトムブリッジのボルトを緩めたら少し引き下げます。
一旦ボトムブリッジのボルトを締めてフォークを固定、
ここでフォークキャップを緩めておきます。
ボトムブリッジを再度ゆるめてフォークを引き抜きます。
無事に取り外すことができました。
汚いのとブリッジ固定辺りに茶色いものが・・・
(のちに錆じゃなくて汚れと判明)
フロントフォークの分解・オーバーホール
さて、ここからはフロントフォークを分解していきます。
フォークソケットボルトを緩める
まずは底面のソケットボルトを緩めます。
このボルトはねじロック剤の塗布が指定されているところなので硬く締まっていることが多く、
インパクトドライバーなんかを使わないと結構苦労する、というか最悪なめてしまってとんでもないことになる的な脅しを散々目にしました。
でもインパクトドライバーなんて持ってないし、このためだけに買うなんてのも高くつくし・・・
で、頑張って手動で外してみることにしました。
キャリパー固定のための突起部分にウエス(布)をかましてモーターレンチで回り留め
6mmの六角レンチを突っ込んだら力点を稼ぐために適当な細い鉄のパイプを被せます
もう一つの突起部を左足で踏み、六角レンチが斜めにならないよう左手で差し込み方向に支えつつ、
右手で延長パイプを慎重に回しました。
「カコッ」っと拍子抜けするほどあっけなく緩んでくれました。
ちなみに外してみたら本来塗ってあるはずのねじロック剤が見当たらない。あれ?
前回頼んだのはあの因縁のホンダド○ーム船橋です。
さすがです。手抜き整備はお手の物w
とは言え緩んで漏れたりしているわけじゃないので・・・まぁ良しとしますけど。
ちなみにここでは緩めるだけにとどめておくこと。
完全に外すとオイルが漏れてきてしまいます。
ある意味ここが最難関なのでここを抜けたらあとは楽。
フォークオイルの排出、スプリング等の取り出し
緩めておいたフォークキャップを外し、中のオイルを排出します。
同時にスプリング、スプリングシート、スペーサを取り出します。
フォークを伸縮させオイルを抜き取ったら、底面のソケットボルトを完全に外します。
フォークピストン、リバウンドスプリングが取り出せます。
- フォークスプリング、スプリングシート、スペーサ
- ソケットボルト、フォークピストン、リバウンドスプリング
ダストシール・オイルシールの取り外し
ダストシールは上に外して抜き取ります。
その下にオイルシールを留めているストッパリングがあるので、インナーチューブを傷つけないよう注意しながらマイナスドライバ等で外します。
インナーチューブを抜き出す
インナーチューブを持って強く引き当てながらボトムケースから抜き取ります。
もうここはガンガンに引っ張って外します。
ここで右側のフォークがインナーチューブだけ抜けてしまい、オイルシールがそのまま残っている状態になってしまいました。
でも慌てず騒がずマイナスドライバーでこじったら外れました。
パイプに傷をつけないようにだけ注意。
オイルロックピースも取り出せます。
- インナーチューブ、オイルシール、バックアップリング、ガイドブッシュ
- オイルロックピース、(※フォークチューブブッシュは交換するときのみ外す)
これでフロントフォークは分解できました。
フロントフォーク各パーツの洗浄
あとはバラした部品を綺麗に洗浄し、組み戻してオイルを入れたら完了なのですが・・・
ここからが問題でした。
オイルが漏れていたのを随分と放置していたので、なんと内部のパーツの所々にも錆が。。。
交換できるなら交換したほうがいいのでしょうけど、
表面の錆だけ削り落としてまたオイルに浸ればそれ以上の進行はなくなる、はず。
なら錆を落とすべし!
サンドペーパー600番で錆が浮いていたパーツをひたすらこするこする、擦り倒しました。
(インナーチューブ、ガイド・チューブブッシュを除く)
しかし作業しているのは梅雨時期の真っ只中。
天気予報を見ながら作業してもポツリポツリと雨が降ってきます。
状況を見て作業を中断。
次の日に持ち越すことに。
とは言え車体などをそのままにしておける環境ではないので、オイルとオイルシールを除いてフォークを組み戻し、ホイールも装着してカバーをかけておきました。
翌日は雨。結局2日ほど開けて作業再開。
556やシリコンスプレーなどを吹きかけることを忘れてまたうっすら茶色くなったパーツを取り出し、再び錆落とし。
初日に失念していた真鍮ブラシの存在に感謝しながら作業し、まぁなんとかなりました。
インナーチューブはブリッジに固定するあたりに点錆がすこしあるだけで、摺動面は綺麗だったのでパーツクリーナーで洗浄したのちシリコンスプレー吹き付け。
あとは組み戻してオイルを入れるだけ。
フロントフォークの組み立て
基本的にバラした逆の手順で組み立てます。
各パーツに適宜フォークオイルかシリコンなどを塗りつつ戻していきます。
ソケットボルトを締める
インナーチューブにリバウンドスプリング、ピストンを入れたらオイルロックピースを取り付け、ボトムケースに取り付ける。
底面のソケットボルトは空回りするので一旦フォークキャップまで仮組みします。
スプリング、スプリングシート、スペーサを入れてキャップを締める。(Oリングなんかは古いまま)
この状態でソケットボルトにねじロック剤を塗布し、ワッシャを新品に交換して締め付けます。
トルク:20N・m(2.0 kgf・m)
実際はトルクレンチが使えなかったので感覚だけで締めました。
ねじロック剤があるのでまぁ大丈夫かなと。
オイルシールを装着
再びキャップを開け、スペーサなどを取り出したら
シリコンスプレー(またはオイル)を吹いてガイドブッシュ、バックアップリングを取り付ける。
インナーチューブの先端に傷つき防止のためラップを巻き、パイプ表面にもシリコンスプレーで潤滑剤塗布。
オイルシールの内側にも塗布したらマーク(刻印)側を上にして慎重に取り付ける。
塩ビ管(VU40)で上からシールを抑え、ストッパリングの溝が見える位置までゴムハンマーで打ち込む。
新品のストッパリングを溝に取り付ける。
最後に潤滑剤を塗布したダストシールを取り付ける。
フォークオイルを注入
スペーサなどは外したまま、オイルを注入。
オイル量:460 ± 2.5㎤
フォークチューブを伸縮させてエアを抜きつつ、
いっぱいに縮めた状態にして上から105mmの位置まで入れていきます。
オイルレベル:105mm
ここでホームセンターで購入した(118円)スポイト登場。
この吸い口から105mmの所に印をつけ、割り箸なんかを十字になるようテープで貼り付けたら立派な道具完成。
これで十分に油面調整できます。
たまにスポイトを突っ込んで油面を確認しながら少しずつオイル注入。
最後に多く入った分をスポイトで吸い出したら完了です。
インナーチューブを伸ばしてスプリング、スプリングシート、スペーサを入れ、
新品のOリングにオイル塗布しキャップを仮締めします。
これを2本分やったらok
フロントフォークの取り付け
外した時と逆の手順で取り付けます。
フォークキャップの本締め
仮締めしたフォークキャップは外した時と同様にボトムブリッジで一旦仮止め、
規定トルクで締め付けた後に上まで戻します。
トルク:22N・m(2.2 kgf・m)
フォークの突き出し量
インナーチューブの上端(フォークキャップの下端)がトップブリッジ上面に合う位置。
合わせたら各割締めボルトを規定トルクで締め付ける。
トップブリッジ トルク:22N・m(2.2 kgf・m)
ボトムブリッジ トルク:39N・m(4.0 kgf・m)
その他パーツも組み付ける
フロントフェンダー
フェンダーを取り付ける。
トルク:12N・m(1.2 kgf・m)
フロントホイール
サイドカラー、スピードメーターギヤボックス、アクスルシャフトをグリスアップ。
位置を合わせて取り付けたらアクスルシャフトを通し仮止め。
ジャッキから降ろした後にアクスルナットを規定トルクで締め付ける。
トルク:60N・m(6.1 kgf・m)
数回フォークを伸縮させて、なじませたらアクスルホルダボルトを締める。
トルク:22N・m(2.2 kgf・m)
スピードメーターケーブル、ブレーキキャリパ
スピードメーターケーブル、ブレーキキャリパを取り付ける。
ブレーキキャリパ トルク:30N・m(3.1 kgf・m)
まとめ
無事に作業が終わりました。
梅雨の長雨の時期に作業したので途中で中断しつつ、結局何回かに分けてやることになりました。
しかもパーツが届いてから2週間ずっと雨。
屋根付きのガレージとかあったら幸せだよね・・・
今回初めてフロント周りを自分でいじりました。
ホイールを外したのも初めて、フォークを分解したのも初めてでした。
ちょっとハードルが高いかなぁって思って敬遠していましたが、なんとかなるものですね。びっくり。
そして今回のことでちょっと調子に乗って実はタイヤ交換も自分でしてみようかと思案中。
その方が諸々含めても費用が抑えられるし、勉強にもなり、工具も手元に残る。
工具の購入費含めても店に出すより安いならチャレンジするべきかなと。
あとは・・・やっぱり写真は撮っておくべきですね。
文字だけじゃ読む気起きないもん(^^;
とりあえず今回は以上!
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